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枯れ枝にとまる仲睦まじげな鳥のつがい。伊坂幸太郎ファンにはおなじみのリョコウバト(デビュー作『オーデュボンの祈り』)、人間の愚行のせいで100年あまり前に絶滅してしまいました。
絵の作者オーデュボンは、大革命まぢかの1785年、仏領サン=ドマング(現ハイチ)に生まれました。18歳で渡米、35歳で「北米に生息する野鳥を描き尽くし、世に問おう」と決意します。20年後、その集大成である全435点の博物画集『アメリカの鳥類』が完成しました。天地約1m×左右約70cmの巨大な紙面に、手彩色版画により多様な鳥たちを実物大で描いたものです。幼いころから培った卓抜な観察眼と苦心のすえ編みだした独自の表現法で、「自然のなかで躍動する生命のありのままの姿」をみごとにとらえ、博物画の概念を刷新しました。
この画集、完全版は世界に120セットしか現存しません。2018年には、クリスティーズ主催のオークションで初版本が10・6億円(過去最高額)で落札され話題を呼びました。同年公開の映画『アメリカン・アニマルズ』は、2004年に4人の学生がこの画集を大学図書館から盗み出そうとした実話にもとづいています。
このたび435点のなかから150点を精選し、コンパクトなA5サイズ、オールカラーでお届けします。作品の順序(原作は制作順)は、作者の自然への深い見識に学ぶ意図のもと、テーマ別編成としました。「消える種」の章では、6種が絶滅、21種が危機にさらされている現状が判明します(保全には一刻の猶予もありません)。巻末には実物写真つきのかんたんな解説を付しました。冬に日本に渡ってくる鳥たちも登場します。鳥類愛好家、美術愛好家の方々はもちろん、生物多様性やアメリカ史に関心のある方々もぜひ。プレゼントにも最適です。(編集部)
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