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石器時代の矢じりの形状、民族ごとの風習、方言の広がり、科学的アイディアの普及……。こうした文化の伝達・継承に見られるプロセスやパターンを「進化」の視点で捉えるのが、「文化進化(cultural evolution)」の分野だ。1970年代に生まれた文化進化研究だが、近年とくに広がりを見せており、文化を扱う隣接分野からの関心も高い。
「文化もまた進化する」――この見方をアナロジー以上のものにするのが、数理的手法である。本書では、数理モデリング、シミュレーション、データ解析など、文化現象の輪郭をとらえるための数学的基盤と研究手法を解説。鍵となる重要概念を整理しながら、代表的な研究事例を数多く取り上げ、分野の全体像を描いていく。
これから文化進化研究に乗り出す人はもちろん、いかに「文化」が数理的手法で捉えられるのかに興味をもつ読者にとって、格好の手引きとなるだろう。
★推薦の言葉★
「文化進化と生物進化はパラレル・ワールドだ。小進化レベルから大進化レベルまで、文化進化は生物進化と同様の論理と推論が当てはまる。本書は、集団遺伝学・文化系統学・形態測定学などの研究最前線をふまえ、数理モデルと統計モデルを用いて文化進化のパターンとプロセスを解明するための新しい方法論を明快にそして軽やかに解説する。オープンデータとオープンサイエンスの時代の到来を見据えた文化進化学の将来像がここにある。」――三中信宏(『系統体系学の世界』『思考の体系学』等著者)
「数理というツールを使って、文化という複雑な現象に挑む現代の文化進化論。その核心を平易に解説してくれる、世界的にも類のない書である。本書は高校レベルの数学の知識があれば理解できるように執筆されている。これから研究を始める学生だけでなく、数理が障壁となって、領域への参入を躊躇していた研究者にも読んでいただきたい良書である。」――竹澤正哲(北海道大学准教授、『文化進化論』解説者)
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