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世界文学とは「あなたがそれをどう読むか」なのだ。つまり、世界文学──それはこの本を手に取ったあなただ。
『亡命文学論』『ユートピア文学論』に続く〈徹夜の塊〉三部作、ついに完結!
「世界文学」などというと少々口はばったく響くが、ぼくはなにもエリート主義的な価値判断をこめてこの言葉を使っているわけではない。ここで言う「世界文学」とは、「世界的に有名な文学」とか、「世界的な大文学」といった意味ではないのだ……。
世界の各地で、それこそどんなに小さな場所であっても、外に向けて対等に発信できる力を持ったものとして営まれているブンガク。それがぼくの考える「世界文学」である。地球はとうに手狭なものになり、この地上にはもはや未知の民族も言語も存在しないかのようだが、この意味での「世界文学」はまだまだこれから発見されて行かねばならない。そして、その発見のためにも、もっと積極的な移動と交通が必要なのではないか。……それは受け手の今後の人生の中で、じわじわと波紋のように広がり続けるだろう。世界文学の交通とは、このような波紋をもっともっと増やし、幾重にも重ね合わせていくことだ。(本書所載「交通する「世界文学」」より)
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