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万葉集4500首余りのうち柿本人麻呂に関わる歌は450首におよぶ。万葉の代表的詩人,国民的歌人ともいうべき人麻呂は日本のホメロスであり,日本のダンテである。しかし彼についてその生涯は不明な事も多く謎に包まれている。
とりわけ宮中での儀礼歌や皇族の死者を弔う挽歌など言霊の行使に多大な貢献をした柿本朝臣人麻呂が,貴族にとって最低の地位である従五位下の身分すら与えられなかったのは何故か,それが最大の謎と言える。
柿本人麻呂の最期については斎藤茂吉の行路病死説や梅原猛の反逆罪説など興味深い意見がある。本書は人麻呂の生涯を新たに構想し,彼の表現に見られる略体歌と非略体歌がどう使い分けられ,また彼の職歴や朝廷権力の変遷など多面的な視点からその実像に迫る画期的な作品である。
彼は禁断の恋もふくめ少なくとも三人の女性と深い縁をむすび,その想いを多くの歌に仮託して詠んだ。著者はそれらに新解釈を加え,創作における原風景の再現を試みる。
有島武郎研究をはじめ近代文学研究に多くの足跡を残してきた著者が古典文学の世界に魅了され,独自の視点から展開する多彩な叙述は,読む者を新たな人麻呂像の魅力に誘ってくれるだろう。研究者のみならず古典文学や詩歌に関心のある者に多くの示唆と刺激を与える待望の書である。
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