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アジア金融危機から20年が経過した。この間、経済システムの中核にありアジア金融危機の震源となった金融システムも大きな形態変化をとげてきた。2010年以降は、この流れの中でさらに新しい動きが顕著になっている。合併で大規模化して足腰をかためたシンガポール、マレーシア、タイなどの有力銀行の中には、自国を越えてASEAN全域に活動拠点を広げるものが現れている。また、2000年代半ば以降には欧米系外国銀行のプレゼンスが下がる一方で、長い金融不況から回復した日本のメガバンクの活動が再び活発化しつつある。また、中国、台湾、インドなどの他のアジア系の外国銀行も存在感を強めはじめている。
本書の目的は、2000年代以降のこのような環境変化の中で、ASEANの商業銀行部門が見せてきた変容を、実物経済の変化との関係にも留意しながら実態を吟味して、その意味するところを考えることである。
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