「観無量寿経」をひらく

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出版社
NHK出版
著者名
釈徹宗
価格
1,012円(本体920円+税)
発行年月
2020年3月
判型
A5
ISBN
9784149110202

浄土三部経の"一つ"にとどまらない「観無量寿経」の魅力とその深淵を詳説する!

【「はじめに」より・抜粋】
 『観無量寿経』(略称・『観経』)という経典は、まずその物語性の高さに魅力があります。そして、経典成立の背景や事情に目を向けると、現代人にとってもたいへん興味深い内容であることがわかります。さらに、東アジアの仏教や文化に多大な影響を与えた経典でもあるのです。
 ところが、近年はあまり重要視されない傾向にあります。サンスクリット語の原典がないお経だからです。大乗仏教経典の多くはサンスクリット語で書かれ、それを中国では漢文(中国語)に、チベットではチベット語に翻訳されてきました。しかし、この『観無量寿経』には、サンスクリット語の原典も、チベット語訳もありません。漢文訳があるだけです(ウイグル語版の断片が見つかったこともありますが、これについては後述します)。
  (中略)
 このような事情もあって、仏教研究における『観無量寿経』の立場は少し微妙なところがあります。しかし、経典に登場する人物のそれぞれの人間模様や心情の変化などは、現代人も共感を覚えるところがあると思います。詩人の佐藤春夫(一八九二─一九六四)は「仏教聖典中の傑作だ」と高く評価しています。経典の由来は少し括弧に入れるとして、経典自体と向き合ってみると、『観無量寿経』には大きな魅力があると、私も思います。
 この講座では、『観無量寿経』の語るところに耳を傾け、『観無量寿経』の生み出したスピンオフ的な文化にまで視野を広げて、みなさんとともに学んでいきたいと考えています。
  (後略)

【もくじ】
はじめに
第1回 王舎城の悲劇──『観無量寿経』の背景と物語
第2回 母・韋提希の苦悩──釈迦の導き
 (コラム1:「阿闍世コンプレックス」について)
第3回 日没を観想せよ──「日想観」
 (コラム2:「日想観」の芸能について)
第4回 悪人が救われる──散善の「九品」
 (コラム3:悪人の救い『ミリンダ王の問い』より「憶念」/コラム4:円仁、良忍、空也、一遍、導御──歌う念仏・踊る念仏/コラム5:山越阿弥陀図──越境してくる仏)
第5回 いと救われがたきは──「三心」と「二河白道」
 (コラム6:「絵解き」の起源)
第6回 その後の阿闍世──『涅槃経』と妙好人
 (コラム7:分陀利華──妙好人とは)
おわりに

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