循環器ジャーナル Vol.68 No.2(2020)

心エコー図で何を見る?ースクリーニングから精査まで

循環器ジャーナル

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出版社
医学書院
著者名
渡辺弘之(循環器内科医)
価格
4,400円(本体4,000円+税)
発行年月
2020年4月
判型
A4
ISBN
9784260029612

心エコー図は循環器疾患に必須の画像診断で、心機能や心疾患が可視化することで、情報共有に基づくチーム医療への臨床的有用性が広く認められている。心疾患の管理に関連するガイドラインで心エコー図が必ず取り上げられているだけでなく、実際に心臓を扱うほとんどの医療施設には心エコー図が整備されている。

 この画像診断の利点は非侵襲性、ベッドサイドで実施可能な点、特別な準備を必要としない簡便性である。放射線や造影剤を使うことはないため、最初の画像診断として用いられることが多い。またベッドサイドでモニタリング中の重症例にもその場で検査することができる。検査には診断機器と電源があればよく、繰り返す検査にも患者は耐えることができる。

 心エコー図を用いれば、心疾患のメカニズムだけでなく、心機能や疾病の重症度を定性的かつ定量的に診断することができる。また,経食道心エコー図や負荷心エコー図などの特殊検査は、精密検査のような性格をもち、より深く症例の状態を把握することができる。

 一方デメリットは、画像そのものに診断が依存し,画質が不十分な例では診断精度が低下しやすいことが挙げられる。また、画像記録や、記録された画像の解釈には一定の学習とトレーニングが必須である。これらの事実は、この検査が検者への依存度が比較的高いことにつながっている。

 近年では,三次元心エコー図や心機能自動解析が進歩し、AIの側面をもつ診断機器も開発されつつある。しかし、これらの進歩に心疾患診断のすべてを委ねるには今しばらく時間が必要である。様々な画像から必要な情報を選んで、それらを合理的に結びつけ、疾患の診断に活かすプロセスには、総合的かつエビデンスに基づいた解釈が必須である。ここに心エコー図の最大のUnmet needsが存在する。

 本書は、心エコー図を学ぶ機会が不十分になりがちな若手医師を対象に、第一線の循環器医師に基礎的内容を具体的に執筆をお願いした。是非、画像診断の基礎として手元におき、また治療後の振り返りの機会にも精読されることを望む。それが、より多くの症例の適切な医療に結びつくことが筆者らの最大の願いである。

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