仏教学・歴史学・文学などの多様な分野の21名の研究者による最先端研究が、日本仏教で展開した教理問答の構想と思想的・文化的な意義を浮き彫りにする。
従来の個人思想を中心とした日本仏教研究の見直しを図り、新しい研究の展開を示す、画期的な学術論文集。
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論義研究の重要性は本書の各論ですでに示されているとおりであるが、今後の東アジア仏教・文化研究にあたり、欠かすことのできない領域であると考えられる。とくに日本仏教の教理研究にあたっては、従来ともすれば特定の祖師による思想の解明が中心となってきたが、論義は特定の人物の思想に還元できない多様な人々の問答の総体であり、この点に大きな特徴がある。複数の、多様な人物間の問答によって立ち顕れる教理に対する分析は、従来の祖師研究を相対化する意義を有していると思われる。
また論義というテーマをひろく「宗教的対話(コミュニケーション)」と捉えるならば、その射程は仏教の教理問答にとどまらず、儒教やキリスト教など諸宗教の儀礼・文献群に及ぶほか、律令や文学の講義・注釈などあらゆる対話的形式をもつ文献群に広がるものであろう。今後、それぞれの分野を深化させつつ学際的な研究(対話的コミュニケーション)が発展していくことが望まれる。
(「編集後記」より)
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