龍谷大学図書館が所蔵する『混一疆理歴代国都之図』は、李氏朝鮮で作製された現存する世界最古の世界地図の一つ。
世界帝国を築き上げたモンゴル帝国時代の地名が数多く記されているなど、大航海時代以前にアジアで作られた世界地図として研究上の価値が高いことは古くから注目されてきたが、従来の研究では、基本的には京都大学に所蔵される複製図を用い行なわれてきた。
しかし近年、龍谷大学理工学部教授の岡田至弘を中心とする龍谷大学の「古典籍デジタルアーカイブ研究プロジェクト」によって、デジタル工学に基づく地名の鮮明化や色素・素材分析などによる復元方法が開発され、作製時代の原型が忠実に復元され、これにより原図の文字の解読が可能となった。
本書では、このような最新のデジタル工学技術によってよみがえった龍谷大学蔵『混一図』に基づいた分析によってみえてきた新知見を公開する。
【本書の構成】
はしがき[村岡 倫]
海洋が生んだ世界図――龍谷大学蔵『混一図』が示す海域像―― [濱下武志]
モンゴル帝国時代の国境なき交流の道 [村岡 倫
『混一図』に描かれた北東アジア [中村和之]
『混一図』の保存のためのデジタル修復・複製 [岡田至弘]
「龍谷図」の彩色地名・歴代帝王国都および跋文 [渡邊 久]
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