伊予松山の豪商栗田樗堂は、加藤暁台を師として芭蕉の俳諧世界の継承に努めた。本書には、樗堂の遺した二四〇〇句の発句、二一四巻の連句をはじめ、文章・書簡・編纂俳書・追善集など、樗堂に関わるすべての作品を網羅した。そこからは、士朗、一茶、成美ら各地の俳人との交流、松山、御手洗の俳人との互いに学び合う交流の実相が見えて来る。芭蕉の幻住庵に倣って営んだ庚申庵は煎茶の庵でもあり、樗堂はここに名利を離れた生き方を求める。晩年は御手洗島に移り住み、旅人として客死する。ここには、芭蕉を思慕し続けた地方俳人の豊かな俳諧世界が広が
っている。地方俳諧に光が当てられ、近世俳諧から近代俳句へつながる研究が進められることを願ってやまない。
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