取り寄せ不可
近世前期の江戸大衆文化を醸成した書肆たちと、そこから生み出された文化を探る。
三都(京・大坂・江戸)の出版界が互いに結びつきはじめる1670年代から、三都に本屋仲間が結成されて後、より組織的な活動が確立してゆく1750年代までの、江戸を中心とした出版文化の具体的な姿は、個々の書肆に関する資料が極めて乏しく、捉えきれていなかった。
そこで本書は、近世前期の江戸において大規模な出版活動を展開した書肆を複数選定し、その出版物を調査して年表化を行い、個々の出版活動の具体像を構築し直し、そこから地域としての特性や活動傾向を推測、書肆活動の文化史的な意義を明確にする。また商品として世に送り出された浮世草子を中心とする作品群と出版文化との係わりについても検討し、読者に受け容れられることを前提とした作品解釈をも試み、江戸前期の出版文化を立体的に提示した。付表として、近世前期に活動した「万屋清兵衛出版年表」を備える。
はじめて明らかになる、近世前期の江戸出版文化。
【近世前期の江戸に発達した出版文化は、同地が上方から見て文化的な後進地域であったこともあり、一六〇〇年代においては主体的な文芸の創出基盤として機能していたとは言い難い。しかし、元禄後期から宝永・正徳期、さらに享保期に本屋仲間が結成された出版機構が確立した後は、地域全体が活動幅の拡大を見せ、近世後期に至って上方を凌ぐまでの大衆文化を醸成してゆくのである。
この文化的基盤形成の過程には、万屋清兵衛ら近世前期に活動を展開した書肆の存在がある。本書では、この文化史としての出版活動の展開の一端を、その流通経路に乗って世に送り出された作品群の分析を交えつつ明らかにすることを目的に、江戸文化の基底を成す出版文化の具体的様相を探った。】
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