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著者は、今から48年前東京工業大学機械工学科中原一郎先生の研究室に配属されて以来長い間「材料と衝撃」の研究に関わってきたが、何時までも忘れられないのは初めてサンブナン・オイラー・ティモシェンコといった棒・梁・板などの古典理論を学んだ時の記憶である。著者自身の衝撃の基礎はこれらを学んだことにあると思っており、若い人達にも是非一度はこれらの古典を学んで欲しいと思っている。しかし、残念ながら適当な日本語の入門書が見当たらず、今自分のような古い人間が書かなければ、今後このような本を書く人間は現れないであろうといった危機感みたいなものから、敢えて古典理論とその理論による解析を纏めた「衝撃力学」を書き上げた。専門書というよりは教科書的な本となるように配慮した積もりで、大学や大学院学生あるいは構造解析に取り組む技術者には一度は学んで欲しいと思っている。各所に「考察」を設けてあるが、これらは演習問題的なものから深い思考を必要とするものまで様々である。中には小研究として取り組まなければならない問題もあり、敢えて解答といったものは載せていない。従って、教員にあっては、講義の宿題あるいはレポート課題として活用してもらえれば良いと考えている。
本書「衝撃力学」は、全8章から構成され基礎編と実践編とに分かれている。
「基礎編」は第1章から第5章までで、「第1章弾性基礎方程式」と「第2章板理論および梁理論」では本書で扱う理論を、出発点となる弾性理論から導出する過程を体系的に示すように努力した。第3章から第5章では、棒と梁と板について具体的な問題についての解析法と結果を示すとともに可能な限り数値計算結果も載せて理解を深めてもらうようにした。基礎編では、理論の基礎である第1章と第2章を飛ばして第3章から取り組んでも全く差し支えないように配慮してある。
「実践編」は第6章から第8章までで、第6章では弾性限度を超えた衝撃問題の基礎的な解析法と結果を示し、第7章では本章で扱っている古典理論の適用性について実験結果や有限要素法による数値解析結果などと数値的に比較することにより読者に解析精度に関して一定の理解を与えるようにしている。最後の第8章では構造物を連続体としてではなく、ばね・質点モデルによって近似解析する場合の考え方とその数値結果を示した。
本書では全体を通してラプラス変換が主要な数学的な解析手法となっているので、毛嫌いすることなく取り組んで欲しい。ラプラス変換そのものは難しいものではないが、その逆変換は数学的に決して簡単なものではない。ラプラス逆変換は、数値的に行なうことも可能であるが、本書では本の性格が変わってしまう恐れから意識的に記述対象から外した。数値ラプラス逆変換は数値結果を得るうえで有力な手段と考えられるので、関心のある読書は関連参考書を参照されたい。
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