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詩人尹東柱の生地としても知られる満州東部の「北間島(プッカンド)」(現中国延辺朝鮮族自治州)。
現代韓国を代表する作家キム・ヨンスが、満州国が建国された1930年代の北間島を舞台に、愛と革命に引き裂かれ、国家・民族・イデオロギーに翻弄された若者たちの不条理な生と死を描いた長篇作。
〈国を奪われ、よその土地で暮らすかぎり、僕たちにできるのは僕たちではない他の存在を夢見ることだ。動かなくなった死体だけが自分が何者なのかを声に出して叫ぶ権利があった。そんな叫びを聞くたびに僕は、間島の地で生きていく朝鮮人は、死ぬまで自分が何者なのかわからない存在だということに気づいた。彼らは境界に立っていた。見方によって民生団にもなるし、革命家にもなった。そういう意味で彼らはつねに生きていた。生きていれば絶えず変化するのだから。運命も変わるということだから。〉--本文より
代表作といえる本作で、作家は韓国でも知る人の少ない「民生団事件」(共産党内の粛清事件)という日本の満州支配下で起こった不幸な歴史的事件を題材に、人間存在の普遍的真理を小説を通して探究している。
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