涙壺

涙壺

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出版社
ふらんす堂
著者名
山本みち子
価格
2,860円(本体2,600円+税)
発行年月
2019年12月
判型
B6
ISBN
9784781412375

◆第一句集



初蝶とわたしエリアをひょいと出る



「ひょいと出る」軽さがよい。人間のエリアから初蝶のエリアへ移動するのだが、その移動によって、「わたし」は詩に転じていると言ってよいだろう。つまり、「わたし」の存在そのものが詩になっている。

(解説より・坪内稔典)



◆自選十句

初蝶とわたしエリアをひょいと出る

おやすみは小さなさよなら春の月

黒揚羽草間彌生を越えて行く

夜の秋頬杖という形して

水澄むや一角獣も来て覗く

木犀の香り微熱の有るような

雪が降るヘップバーンの長い首

手と手足と足ときどき触れて雪

青い目になってしまうわ冬青空

雪よ雪よUターンしてちょっとキス

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