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これまで、金融機関のリテール営業担当者は、購入時手数料や信託報酬の高い金融商品を、回転売買させることに注力してきました。しかし、欧米のリテール金融マーケットを見ますと、手数料の低い商品が販売されており、長期にわたる資産形成のため、お客様に寄り添った営業スタイルがとられています。
そこで求められるのが、リテール営業のプロフェッショナルとしての「プライベートバンカー」です。プライベートバンカーは、お客様の最適な資産管理と運用の方法をアドバイスします。
日本証券アナリスト協会の定義によれば、「プライベートバンカーとは、富裕層(マス富裕層を含む。)のために、金融資産のみならず、事業再構築、事業承継を含めた生涯あるいは複数世代にわたる包括的・総合的な戦略をベースに投資政策書を立案し、その実行を助けるとともに長年にわたってモニタリングを続ける専門家のこと」とされています。お客様にアドバイスする分野は、金融商品の売買だけではありません。相続、事業承継、税務対策、不動産投資、非金融サービスなど多岐にわたります。リテール営業において取り扱うサービスの範囲が、従来とは比べ物にならないほど広くなるのです。
こうしたサービスを提供するプライベートバンカーは、従来型のリテール営業以上にやりがいの大きな仕事となるはずです。しかし、プライベートバンカーが活躍する欧米と比べ、わが国は、本格的なプライベートバンカーを育成するために難しい環境にあります。
本書は、日本証券アナリスト協会が提供しているプライベートバンカー資格(主として、プライマリー・プライベートバンカー)の受験生のために書かれた予想問題集です。
プライベートバンカー資格は、富裕層に多様なサービスを提供するプライベートバンカーを本格育成するための、日本で初めての教育プログラムです。金融機関の窓口担当者や顧客担当渉外員、リテール金融業務に従事するスタッフ・管理職、さらにその上級幹部クラスを含む幅広い層を対象に、プライベートバンキングに関する知識や考え方を、実務に即した視点から効率よく学ぶ機会を提供しています。
プライベートバンカー資格試験は、①リレーションシップ・マネジメント、②ウェルス・マネジメント、③不動産、④税金、⑤信託、エステートプランニング、⑥マス富裕層、⑦職業倫理で構成されています。学習範囲が広汎にわたり、各章に出てくるテーマが相互に絡み合っている点が特長です。
本書は、プライベートバンカー資格試験を合格するに足る重要なテーマを網羅しています。日本証券アナリスト協会の通信教育講座のテキストで一通り学習した後、本書の予想問題を一度だけ解いていただければ十分です。
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