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心と脳は同じものなのか。心はすべて物理的な理論で説明がつくのか。心と脳はなぜ「サイクリングと自転車」の関係に似ているのか――。『世界はなぜ存在しないのか』で「世界」を論じた気鋭の哲学者がつぎに切り込むのは「心」。脳科学全盛の時代に、実存主義と心の哲学をつなげ、21世紀のための新たな存在テーゼを提示する。
■内容紹介(第5章より抜粋)
1 人間は本質なき存在であるという主張
2 人間とは、自己理解に照らしてみずからのあり方を変えることで、自己を決定するものであるという思想
哲学的思考における来たるべきポスト自然主義の時代――その時代の選択肢のひとつとして、新実存主義を育んでいこうという本書の私の論考は、こうした実存主義のスローガンが心の哲学にとって何をもたらすかを明らかにすることに狙いがあった。心の哲学の中心問題を立て直そうという目論見だ。哲学者のあいだにいまもはびこる自然主義的世界観の行き詰まりや病を思えば、それは緊急の課題と言わなければならない。
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