映画と文藝

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映画と文藝

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出版社
彩流社
著者名
清水純子
価格
3,300円(本体3,000円+税)
発行年月
2020年1月
判型
四六判
ISBN
9784779126482

日本の文学作品とその映画



一般に原作が優れていればいるほど、その映画化が原作を凌ぐのは

難しいとされている。

名立たる文豪たちが活躍した二十世紀は、サイコロジーとその応用が盛んな

時代だった。

谷崎、川端、三島、乱歩の小説に表れた

SM嗜好、人格分裂、母性への固着は、フロイトを始めとする精神分析学者が、

その原因を明らかにして人間の理解を深めようと苦心してきたテーマでもあった。

日本近代の文学者たちは、その欧米経由の精神分析を使用し、日本人らしさ、

日本人のアイデンティティを見定めようとし、ほの暗い日本家屋の闇にも

似た人間の暗い部分の描写と精緻な分析を推し進め、人間存在の「陰」の部分

へのまなざしを深めていった。そこに、外国の映画人たちは深く共感したに

違いないのである。

本書は、陰影礼賛に満ちた文豪の小説とその映画についての理解を、

さらに深めるための批評集である。

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