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本書は,流体数値シミュレーション技術の基盤となる圧縮性および非圧縮性流れの代表的な数値解法を中心にまとめたものである。内容構成において学習しやすさを重視しながら,関連知識の体系化にも工夫している。
2 章では,連続体力学に基づく流体力学の支配方程式を導出し,それぞれの特徴を紹介する。3 章は空間および時間における離散化方法を紹介する。空間離散化について,「空間再構築」という概念の下で有限差分法と有限体積法を統一的に取り扱う。さらに,離散方程式の性質を説明するとともに,簡単な例を挙げてそれらの性質を分析する手法を解説する。4 章では,流体力学においてきわめて重要である移流を表す双曲型方程式の数値解法を論ずる。代表的な数値解法としてGodunov 型有限体積法を詳しく解説する。保存性,数値散逸,数値振動,TVD 再構築,数値流束(リーマンソルバ)などについて計算結果を検証しながら解説し,高解像度TVD 法の構築手順をサンプルコードとともに説明する。5 章では,4 章で構築した数値解法を圧縮性気体の支配方程式であるオイラー方程式に適用する。とりわけ,オイラー方程式の特徴,リーマンソルバの構築に重点を置いて解説する。6 章では非圧縮性粘性流れの数値解法を解説する。音速に比べ流速が低い流れの数値解析に広く用いられるMAC 法,SMAC 法およびSIMPLE 法を詳しく紹介する。強制対流,自然対流,管内流れなどのベンチマーク問題において,変数の配置,境界条件の設定,計算手順を分かりやすく解説する。さらに,圧縮性流体を対象に開発された密度ベースの解法を低速流れの計算に適用する場合と,非圧縮性流れを対象とした圧力ベースの解法を高速流れに適用する場合の,二つの処理方法を述べる。
学習内容の一部として,C言語のサンプルプログラムも提供し,読者自らCFD コード開発の実践まで展開できるような構成となっている。付属プログラムを活用し演習を行えば,内容の理解を深めることにつながる。
本書は読者として,理工系の大学院生あるいは学部の3,4 年生を想定しており,学部の基礎数学や流体力学の講義を履修していれば,大きな困難もなく本書の内容を理解できると考える。各解法の導出において基本的な考え方に重点を置いて説明するとともに,計算式の詳細および具体的な数値計算プログラムを示し,現役の学生だけでなく,一般の読者にも独学しやすいように工夫している。理工系の学生のみならず,高度なCFD 業務に携わる研究者・技術者の読者の方々に対しても,CFD 数値解法の研究・応用のさらなる理解のために,本書が少しでもお役に立てればと考えている次第である。
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