狂言の面

狂言の面

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出版社
G magazine出版社
著者名
伊藤通彦
価格
3,850円(本体3,500円+税)
発行年月
2019年10月
判型
A4
ISBN
9784990275334

狂言面は面白い・・・伊藤通彦
 私が初めて狂言を見たのは『止動方角』という曲でした。主が馬に跨がって登場するのですが、狂言の知識など皆無だった私は大変驚きました。その馬は黒ずくめで、黒頭の奥に「賢徳」の面を着けていたのですが、見事に馬だったからです。
 このように狂言の面には説明的な造形は何も無いのですが、曲に使用されることで見るものの心に一層のリアリティを喚起させるものがあります。「空吹」の面はその典型でしょうが「乙」も色々に変身します。その意味において狂言面は道具性が高いと云えます。
 能と違って狂言は全ての曲には面が使用されません。そのため面の種類は能面と比して多くはありません。また、能面は様式や造型の完成度が極めて高いため、多くの面で様式が固定されています。一方狂言面は能面ほど強く様式が固定されていないため、曲の趣きによってはかなりの工夫を加えることができ、創作の領域が広いと云えます。
 さらには、能面の高い完成度は、曲とは関係なく美術的な価値が高いと云えます。しかし、狂言面は曲を理解しないと解らない面が多く、その相貌が奇異なものもあります。曲に笑いや、人の持つ滑稽さを表現する内容のものが多いこともあって、能面ほど高い観賞性を持ちません。しかし、実はそれこそが狂言の面の面白いところであって、創り手の工夫のし甲斐があるのです。だから、何をしても良いと云うことではなく、作品を作るに臨んで大切な事は、曲と同じで、品のよさであり、飄逸さであり、強さです。
 この度、図録をつくるにあたって、「三宅狂言会」「万作の会」の両会より特段の配慮を賜りました。厚くお礼を申しあげます。?

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