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日本近代の文化財修理史において、「復原」をめぐる保存思想はどのように形成されたのか。国宝保存法(1929-50)が適用されていた昭和時代前半期の建造物修理に焦点をあてつつ、歴史的建築の形や色の「復原」のみならず、工事施工や調査手法などの修理工事の技術的側面を含めてその実態を解明し、当時の修理技術者たちの保存思想について論じる。
そして、昭和9(1934)年に開始された法隆寺昭和大修理の現場を中心に、日本近代に固有の建築保存方法論が確立されたということを指摘し、建築を「保存」するという行為そのものに内在している本質的な問題についての考察を加えつつ、さらにそれが現代の保存に何を示唆しているのかを問い直す。
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