ひざしのことり

第一句集シリーズ

ひざしのことり

取り寄せ不可

出版社
ふらんす堂
著者名
原ゆき
価格
1,870円(本体1,700円+税)
発行年月
2020年1月
判型
A5
ISBN
9784781412436

◆第一句集シリーズ/I



胡瓜持つ胡瓜の中に水の声



胡瓜を手にしたとき、その手触りや重さから胡瓜のうちの「水の声」を聞くのは、なんとなく分かる気がする。胡瓜だって人間だって、体の大部分は水、だから、ゆきさんは胡瓜に近いし、胡瓜はゆきさんに近い。

(解説より・坪内稔典)



◆自選十句

蕪という明るいものを買ってくる

蜜柑剥く旅程のごとき音たてて

いつまでも羽が残って春の風邪

音楽はさよりの動きにてドアへ

ありったけ胡瓜食べ喉ほのあかり

こいびとに金魚の箇所と石の箇所

日の盛り固まりかけの詩のしずか

発光の葡萄をしまう君の唇

死体役すいっと起きて星月夜

梨を切るたびに湖面の現れる

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