特集:「悠々として釣り急いだ」作家・開高健の珠玉の釣り人生
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「漂えど沈まず」名句に潜む開高健の思い
無垢なツンドラに吹く、鋭い刃のような風の大地、アラスカ。高温多湿、高密度にさまざまな生物が何層にも重なる、南米・アマゾン。産卵のため沿岸にウミガメが大挙する「中米の楽園」コスタリカ。そして青と緑の2色の大地、モンゴルなど……。足掛け20年に及ぶ開高健の釣りは、巨魚、怪魚だけのハンティング紀行ではない。その土地の釣りや魚を語りつつも、辺境地の市場や酒場を訪ね、酒や料理を求めて路地裏を彷徨いながらも、一筋の光明を釣り上げてきた。
開高健の「漂えど沈まず」という名句がある。これは、パリ市の紋章に記された言葉だったという。その言葉を見た開高健は、「パリが誕生してから5~600年の歴史の中で、風にうたれ、波にもまれているにもかかわらず『漂えど沈まず』という一言に見事に要約している」と言及し、「男の本質、旅の本質は、まさにこれだ」と言い切っている。開高健の壮大な釣り旅は、こうした蓄積の上にある。だからこそ、多くの釣り人を奮い立たせたのではないだろうか。
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