「悪魔の辞典」のごときしゃれた警句で世に知られるオスカー・ワイルド。かれはヴィクトリア朝ロンドンの伊達男そのものだった。ただしそれは愚かな名誉毀損訴訟を起こし、悲劇的な破滅に追い込まれるまでのこと。とはいえ「同性愛の罪」による投獄だけで、その名が歴史に刻まれたわけではない。『ドリアン・グレイの肖像』『真面目が肝心』など珠玉の作品がワイルドの名を不朽のものとしている。
さあ、彼自身に語ってもらいましょう。
作者マーリン・ホランドは、ワイルドの血を引く唯一の孫であり、20年以上にわたり祖父の生涯と作品についての研究をおこなってきた。その“悪名馳せる”がゆえに祖父の名を奪われた実の孫が架空のインタビューをする、という“皮肉”な設定は、ワイルドの残酷な運命と没後の世界的な影響力を知るうえで、おあつらえむきとも言えるだろう。
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