言葉は時代の価値観に左右され、人と人が真に分かり合うことはない。人間は孤独だ。だが、絶望から出発しなければならないのだ――。常に疑問を持ち思索を続けることを説いた思想家が、悪、歴史と現実、西洋と日本……現代に至る問題を、平易に論じ、混沌とした先行きを照らす。学生への特別講義四篇を完全再現。
この世にあるのはその場そのときの大義名分を獲得しようとあくせくする人間の感情やその場しのぎの論理の無限のぶつかりあいだけなのだと言って回って、絶対の真理や正義があると信ずる人びとと喧嘩をした。その喧嘩がまた一種の御芝居なのであった。どこまで行っても御芝居。これぞ福田である。――解説・片山杜秀
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