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私が引き寄せられるのは、古いものばかり。物も着物も、幽霊も――。
日本古来の呪術・風水・民俗学などに造詣が深く、豊富な心霊体験を持ち、様々な分野で活躍する作家・加門七海氏。
日常的に着物やアンティークを身につける本人の実体験や見聞きした逸話の数々……着物をめぐる怪しくも深遠な世界が綴られる十一章。
以下、章題。
「帯留」戦火を逃れた鮎の帯留。見た瞬間、自分のものならぬ言葉が――。
「振袖」実家の箪笥を開けると、祖母の形見だという着物が見つかり――。
「古着」市松人形のために手に入れた着物。夜、袖から白い女の手が――。
「足袋」近所の路地沿いある、廃工場の駐車場。奥の闇に見えたのは――。
「衣擦れ」眠りに入りしばらく経った頃。衣擦れの音に目が覚めて――。
「糸」その姿を見た前後から、急速にアンティーク着物に気持ちが傾き――。
「東と西」生地も染めも見事な着物なのに、誰もが試着後に首を傾げ――。
「帯」最初から“体を巻くもの"として存在する帯。そのため蛇と化し――。
「帷子」京都帷子ノ辻。空き地の木の枝に下がっていたのは――。
「薄物」友人の祖母の遺品。美しい振袖がいつの間にか見当たらなくなり――。
「文様」時を超え伝えられる数々の文様。それぞれに意味が込められ――。
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