取り寄せ不可
ジュディは幼い娘を伴い、ロンドンの屋敷へ帰ってきていた。
二度とここへは戻ってこないつもりでいたのに。
誰よりも深く愛したロバートにつけられた傷が疼くから。
彼との別離に、傷ついた彼女を絶望の淵から引き上げ、
生きる意味を与えてくれたのは、夫――ロバートの兄だった。
だが夫亡きいま、ロバートのいる婚家に戻るより術はなかった。
「ジュディ」声音の低さに、苦いものがありありとこもる。
振り返らなくてもわかる。忘れもしない声。
自分の娘を、兄の子だと思い込んでいる、かつての恋人……。
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