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古記録を歴史資料としてでも文学作品としてでもなく、言葉によって織りなされたテクストとして論じる。平安朝の言説を考えると、いわゆる文学作品に限らず、漢文や仮名文で書かれたものは、それぞれが孤立的に存在していたのではなく、むしろ相互に関係しあいながら生成された。本書は古記録を、その内部の論理のみならず、他のテクストとの関係のなかからとらえ、平安朝の言説の一端を明らかにしようという試みである。具体的には、関白藤原師通の『後二条師通記』を主たる対象とする。摂関家では道長に次いでまとまって残っており、院政期初頭の摂関嫡流の日記として重要である。これをテクスト生成、東アジア古典世界における日本漢文(学問と漢籍引用)、論理(私日記の発生、記憶と記録、語りと筆録)の三側面から論じる。「漢文」で書かれた「日次」の「記録」の論理と構造を明らかにし、時代の転換期を生きた記主師通の言説に迫るとともに、古記録の新たな研究の視座を示す。
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