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私たちは人と出会うなか、いつしか“こころが通っている”感覚に包まれていることがあります。
「いつも微かに」あるいは「この瞬間とてつもなく」……
それは、相手に同調できて寄り添えたからでしょうか?
自分を思いやって手を差し伸べてくれたからでしょうか?
じつは“こころが通った”という感覚は、そうした応報のなかにではなく、「自分のなかに相手のこころが贈り物のように宿って、その包みの紐をそっと解いて、相手を暖かく見つめ返す」、そんな響きあいの場面にこそあるのではないでしょうか。
○ 本書では、こうした “内面の響きあい”を見つめて、人の《苦しみ》にアプローチします。
それも、人間が避けてとおれない「病気に見舞われる」状況で「大切な他者」とのあいだに起きている“こころの動き”に、眼差を据えます。
○ 病気という体の故障は医療で改善できても、もつれてしまった不幸は、人と人の出会いのなか“こころが通う”感覚でしか、暖かく受け留められることはないのかもしれません。
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