名写真家たちが捉えていた今はなき国宝の姿
明治5年、新政府による文化財調査、いわゆる「壬申検査」を機に、様々な機会に撮影されてきた国宝の写真。昭和に入ってからは、多くの著名写真家たちも、作品の被写体として国宝を数多く撮影し、自身の創作意欲や芸術性を投影してきました。
本書は、明治、大正、昭和に撮影された国宝の写真を、写真史上の意義も踏まえて解説し、掲載するものです。
これらの写真の中には、文化財整備のゆき渡った現代とは違う姿でとらえられた荒廃した国宝の姿や、第二次世界大戦の戦火の中で消失した国宝も多く、“失われた時代の貴重な国宝の姿”をみることができる写真が多数含まれています。
記録としての写真の時代から芸術作品としての写真の時代へ。写真家たちはいかに国宝に対峙し、どのような苦労と創意のもとに国宝を撮影してきたのか。その歴史を順を追ってたどることで、国宝の新たな魅力に邂逅し、文化財としての国宝の数奇な運命をも知ることができる、貴重な一冊。
折しも2020年は文化財保護法制定70周年の記念すべき年。文化財保護への関心が高まる中、是非とも愛読いただきたい書です。
【編集担当からのおすすめ情報】
1950年の文化財保護法制定から70年を迎える2020年、様々な場面で、文化財保護、国宝保護への機運の高まりがみられると思われます。
また、この文化財保護法誕生のきっかけとなった、法隆寺金堂壁画の消失から今年(2019年)で70年でもあることから、奈良国立博物館では12月7日から「重要文化財 法隆寺金堂壁画写真ガラス原板」と題する特別展が開催予定。
本書内でも取り上げている「法隆寺金堂壁画」写真は、まさに“国宝ロストワールド”の象徴的存在であり、展覧会会場でも本書が注目されることが期待されます。
土門拳の幻の名作エッセイ「走る仏像」全文掲載あり。
日本写真史を知る上での貴重な挿図28点を掲載。
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