奄美

月光叢書

奄美

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出版社
皓星社
著者名
中田實
価格
2,200円(本体2,000円+税)
発行年月
2019年9月
判型
四六判
ISBN
9784774406848

とろとろと漆黒の闇に火の生れる轟なるもの火のかたち見ゆ



樹木、昆虫、鳥類が鋭い暗喩となって戦後の日本を、滅亡に向かってひた走る現代文明を指弾してやまない。中田實の、滅びゆくものに向ける眼差しはひたすらにやさしい。(福島泰樹)



月光の会を長年支え続けた中田實の血潮が宿る第一歌集。





以下歌集より抜粋



昭和二十六年十二月三十一日曇天の横浜港 父は「日本」に降り立つ

総革の膝元までのコート垂れ累累続く死者の群れたち

分水嶺の左に流れ日本海へ 分かれの悲しみが滲む手の甲

北緯三十度線の国境よ荒海よ 密航者俺の眼に屋久島聳ゆ

両腕の肘より先の無き夢を ただ夢に見き哭いて見てゐし

炎天の蜘蛛の糸にぞ絡められ八月の?は風邪に揺らぐを

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