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近頃、筋肉を鍛える女子が世間を賑わせている。シックスパックと呼ばれる腹筋が割れているお腹、引き締まった二の腕や太もも。従来の女らしいカラダとは異なる「ナイスバディ」が、女性たちを魅了してやまない。もはや、現代の最強のアクセサリーはジュエリーでもバッグでもなく、美しい筋肉なのだ。なぜ、筋肉は女子たちを魅了してやまない最強のアイテムになったのか。そもそも、いつから、女子の間でカラダを鍛えることが流行しはじめたのか。
本書は、女子学(ファッション文化論、化粧文化論)を専門とする著者が、昨今の女性の筋トレブームを、女子の美意識の変遷から捉えなおす異色の社会文化評論である。増殖する筋肉女子への考察を深めていくと、そこに見えてきたのは、単なる一過性の流行ではなく、女性の身体感の劇的な変化、おそらくコルセットからの解放以来の身体感の大転換期である。女性たちが、男性に支えられる身体を捨て、自らの力で立ち、どんな困難も乗り越えられる身体を手に入れはじめたのだ。
やればやるだけ、結果がついてくる筋トレには、自分の意志で自分の身体をコントロールし、私の体は私のものだと実感できる喜びがある。努力がきちんと報われる快感がある。それは、現実のなかで努力が必ずしも報われるわけではないことの裏返しでもある。社会では、頑張っても努力が報われないこともある。信じていても裏切られることもある。だけど、「筋肉は裏切らない」。社会は裏切る、男も裏切る、だけど、筋肉だけは裏切らない。女性たちが筋トレに飛びつくのにはわけがある。
筋肉女子は、ただ単にカラダを鍛えるだけではない。ただ単にカラダが変わるだけじゃない。筋肉女子は、一つの「生き方」なのだ。食生活を変え、意識を変え、そして人生が変わる。ライフスタイルが変わってこその筋肉女子だ。自分の人生をこの筋肉でつかみとる。「運」を「動」かしてこその「運動」なのだ――
クロスフィットトレーナーAYAとの特別対談「筋肉女子の原理原則」を収載!
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