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国営諫早湾干拓事業は1997年の潮受堤防閉切(“ギロチン”と呼ばれた)により,深刻な「有明海異変」を引き起こし,その後の訴訟の乱立では相反する司法判断により地域社会は分断され混迷を極めた。その根本には,政官業の癒着構造と日本型公共事業の悪弊があった。
行政と司法に翻弄され対立せざるを得ない状況に置かれていた漁業者と農業者,そして地域社会が恊働し,未来世代のために諫早湾,有明海,干拓農地,多良山系の多様な生きものの命を育み,自然の循環を基盤にした持続可能社会をつくることはできないだろうか。
自然科学,社会・経済学などの研究者,有明海に生きる人々(漁業者,農業者,市民),また司法の立場から様々な知見を結集し,総合的に有明海問題の理解を進め,有明海問題の本質と未来を考える。地域社会を再生し,森里海をつなぐことを目指して。
【元NHKニュースキャスター/NPO法人ガイア・イニシアティブ代表 野中ともよ氏推薦】
【執筆者】
田中 克 京都大学名誉教授,舞根森里海研究所長
服部英二 地球システム・倫理学科常任理事,会長顧問
中尾勘悟 肥前環境民俗写真研究所代表
平方宣清 佐賀県太良町漁師
松尾公春 農業生産法人(株)マツオファーム代表
佐藤正典 鹿児島大学理工学研究科教授
木下 泉 高知大学海洋生物研究教育施設教授
堤 裕昭 熊本県立大学環境共生学部教授
髙橋 徹 熊本保健科学大学共通教育センター教授
宮入興一 長崎大学名誉教授
開田奈穂美 東京大学特任助教
堀 良一 「よみがえれ!有明訴訟」弁護団・弁護士
横林和徳 諫早湾干拓問題の話し合いの場を求める会事務局
木庭慎治 福岡県立伝習館高等学校教諭
松浦 弘 熊本県立岱志高等学校教諭
鳥居敏男 環境省「つなげよう、支えよう森里川海」プロジェクトチーム副チーム長
畠山重篤 NPO法人森は海の恋人理事長
牧野宗則 木版画家(装画作者/特別寄稿)
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