1924年に出版されて以来、物理数学を学ぶための代表的テキストとして読み継がれてきた歴史的名著の日本語訳。
数学の世界的中心地として名を馳せていたゲッチンゲン大学で当時教授を務めていた数学者ヒルベルトとその弟子クーラントが著した本書の下巻は、固有値問題や境界値問題と変分法を中心に解説し、読者をスピーディに問題の本質へと導くその鮮やかな語り口によっていまも古典の輝きを燦然と放っている。
当時、数学が物理学やその他の学問から乖離し、抽象化・緻密化の度合いを強める傾向への憂慮をこめて書かれた本書は、ちょうど時代を同じくして生まれた量子力学の発展にまさに必要な数学的方法を物理学者に提供し、数学と自然科学との間に豊かな交流が実現し得ることを証明する結果となった。
今日、工学、情報学そして生物学などとも広く結び付いている豊かな現代数理科学の発展の礎を築いた一冊として、多様な読者に勧められる。
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