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現在の島根県津和野町出身の思想家、西周(にし・あまね:1829- 1897年)。幕末から明治にかけて活躍し「哲学」という訳語を生み出したことで知られていますが、そんな西周とはいったいどんな人物だったのでしょうか。しかし、この問いに一言で答えるのはなかなか困難です。というのも、西周は、ある時は幕府の重役にして日本初の憲法案の提出者であり、またある時は日本における哲学の父、あるいは明治政府の官僚にして悪名高い「軍人勅諭」の起草者であり、さらには教育者や政治家の顔までもった百面相的な人物であったからです。
本書は、翻訳論・日本語論・軍事論の三つをテーマに選び、多岐にわたる西周の思想や実践をコンパクトに紹介した入門書です。西周を「名前は知っているあの人」から、現実と格闘しつつ言葉に寄り添い思索し続けた者として、あるいは激動の時代を生き抜いた悩める先駆者として新たに甦らせる一冊となっています。
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