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「光の都」パリが最も輝いた時代
1940年から50年に至る10年間は、「光の都」パリにとって最大の試練であると同時に、最も意義深く、最も輝いた時代だった。目まぐるしく移りゆく社会情勢と世相を背景に、戦後、新たな時代の幕開けを彩り、歴史に名を刻んだ人々の生が交錯する瞬間を活写する。
著者はナチ占領下から解放に至るまでの激動のパリに読者を誘う。そして、そこに集った詩人、作家、思想家、画家、彫刻家、写真家、歌手、俳優、映画監督、ジャーナリスト、政治家の人生を巡る悲喜劇、レジスタンス運動、実存主義、マーシャル・プランを巡る人間模様、時代を彩る芸術の傑作群の誕生の経緯等を、ミクロの視点とマクロの視点を巧みに切り替えながら、まるで自ら目撃したかのように臨場感豊かに描き出す。
共産主義や人種問題を巡るアメリカとの対比、芸術分野を横断し、国境を越えた人々の交流を通じて、戦後まもない時期にパリが国際的に果たした役割の大きさに改めて気づかされる。とりわけ、男性優位の旧弊な社会で自らの生き方を模索した、ボーヴォワールを初めとする有名無名の女性たちの人生が女性の視点から描かれる点は興味深い。私たちの生きる現代の礎となった時代を理解するのに格好の一冊。
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