取り寄せ不可
エロイーズは伯爵のもとに押しかけたことを後悔していた。
彼女を見るやウォルトン伯爵が苛立ちもあらわに背を向けたから。
伯爵が恋に落ち求婚したのは、美人の妹であって私ではない。
しかも妹の駆け落ちで、いま彼の自尊心は傷つけられている――
怯みながらも、しかし、エロイーズは力を振り絞って告げた。
「私と結婚してください。あなたの評判を守るために」
振り返った端整な顔に浮かぶ、虚をつかれたような表情を見て、
いたたまれなくなって目を伏せた。そして心のなかで付け加えた。
嫌な男と結婚させられそうになっている、私のためにも……。
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