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経済学を変えた一冊
すべてが暗転していく1930年代は、経済学の黄金時代だった。周知の通り、ケインズの『雇用・利子および貨幣の一般理論』が刊行されたのは1936年のことである。
当時、ケンブリッジ大学のケンブリッジ・サーカス、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのロビンズ・サークルには、当代切っての天才が集った。
ヒックス、カルドア、J・ロビンソン、ロビンズ、カレツキ、ハロッド……本書は彼らの生涯と理論を有機的に連関させることを通じて、現代経済学の生誕を描くだけでなく、20世紀の精神史に肉薄していく。
経済学はいつからか「制度化」したと言われる。第二次世界大戦後、「新古典派総合」が主流となり、分厚いテキスト(サムエルソン『経済学』)と数式が経済学の「正統」とみなされるようになった。
それにより、経済学は体系化されて、たしかに学びやすくなったが、そこにケインズの時代以来の「経済学の第二の危機」(J・ロビンソン)が巣食っているのではないか。こうした現代経済学の巨人たちの問いは、著者の問いでもある。1989年に刊行され、現代経済学の風景を一変させた記念碑的著作!
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