「張作霖を殺した男」の実像

「張作霖を殺した男」の実像

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出版社
文藝春秋企画出版部
著者名
桑田冨三子
価格
1,650円(本体1,500円+税)
発行年月
2019年8月
判型
四六判
ISBN
9784160089556

昭和3(1928)年6月4日未明、中国軍閥の雄であり満洲の支配者であった張作霖を乗せた列車が奉天郊外で爆破され、張作霖は死亡します。爆薬をしかけたのは関東軍、首謀者はその高級参謀・河本(こうもと)大作大佐でした。事件直後から関東軍の関与が疑われましたが、時の日本政府は中国での反日の動き、海外諸国からの非難を恐れ、事件をうやむやのうちに処理します。この真相不明の「満洲某重大事件」は戦後、東京裁判での田中隆吉元陸軍少将の証言がきっかけで世に知れ渡ります。それとともに河本大作は、関東軍の「悪行」の代名詞となります。いわく、「幕末の志士気取りで独断で蛮行に及んだ」「河本は事件をきっかけに軍を出動させ満洲を制圧しようとした」「軍法会議にかけられるのを恐れ、そうなったら軍の謀略を全部暴露する、と言って軍の幹部たちを脅迫した」「満洲事変、ひいては日中戦争に至る導火線に火をつけた男だ」と。

しかし著者は、河本に貼られたこの「大悪人」のレッテルに疑問を呈します。著者は河本大作の孫娘。家族のもとには、事件直後、陸軍中枢の幹部たちが謹慎中の大作に送った激励・慰労の書簡のほか、大作が家族や知人らに送った手紙、大作の活動の記録など、多くの秘蔵資料が残されていました。それらが伝える大作の生き方、著者が幼い頃に接した祖父の姿は、世間の人たちが持つイメージとは大きくかけ離れたものでした。著者は家伝の秘蔵資料をじっくり読み込み、研究書・論文等を博捜し、祖父がなぜ張爆殺を敢行したのか探ります。そして、祖父・大作は誤解されている、という結論に達します。著者は本書で秘蔵資料を開示し、大作が張爆殺を企図するに至った経緯を、当時の満洲の状況を交えつつ解説し、それが決して「独断」でも「満洲制圧を目指したもの」でも「軍の幹部たちを脅迫したもの」でもないことを明らかにします。これまでの常識を覆す、大作復権の画期的な論考です

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