日本の植民地主義のもと徴用工として働かされた韓国(当時:朝鮮)の人々に対し慰謝料を払うよう命じた、2018年10月の韓国大法院判決は、大きな波紋を呼んだ。日本国内では、「日韓請求権協定で解決済みの問題を、蒸し返すな」といった取り上げられ方が目立った。
しかし、本当に請求権協定で「解決済み」だったのだろうか。
今回の大法院判決を読み解き、請求権協定の締結過程やその後の解釈の変遷を調べると、日韓両国の政府や裁判所の態度が変遷し、その狭間で救済を受けられなかった被害者の苦闘が見えてくる。
本書では、何よりも、被害者の人権を救済するという視点からこの問題を捉え、救済策を考える。
帯文:
戦時下にだまされて日本に連れて来られ、給料も支払われずに過酷な労働を強いられた13歳の少女。戦後、韓国に戻ってからも、日本で被った苦痛を忘れることなどできず、無償労働を強いた日本企業を相手に慰謝料の支払いを求めつづけました。そしてそれがようやく裁判で認められました。
この問題は日韓両国の国家間の問題として考えられがちですが、何よりも一番考えるべきことは、過酷な被害を受けた彼女らが、13歳から今日に至るまで救済されずに放置されてきたということではないでしょうか。韓国大法院は彼女らの訴えをどうして認めたのか、判決を読み解き、考えてみませんか。
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