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荷風の戦後は「問はずがたり」とともに始まる。一人の画家の眼を通して、戦中戦後の情景が映し出される。若い女性の心象を掬いとる「吾妻橋」「或夜」「心づくし」「裸体」。下町を舞台とした戯曲「渡鳥いつかへる」。戦渦を生き抜き、新たな生を受けとめる人々への哀感と愛惜のまなざし。戦後の荷風文学がよみがえる。(解説=岸川俊太郎)
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