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謎の画家・張択端によって精緻に描かれた北宋都市の光景や人々の暮らし―。「神品」として名高い画巻を高精細の原寸大画像で余すところなく掲載。さらに原寸を超える拡大画像でハイライト部分を紹介する。日本に伝わる模本3点(林原美術館本、東京国立博物館本、筑波山神社本)から、内外の研究者による充実の論考、跋文の釈文や翻訳まで付した決定版!
【本書「メッセージ」(北京故宮博物院 余輝)より】
張択端が私たちに伝える北宋の空気は、一時の温もりであり、悠久の記憶でもある。春の天気が変わりやすく、秋の実りの後には霜が降りるように、栄えるものは必ず滅びるというのが歴史の法則だが、「清明上河図」の中に流れる空気はあまりに心地よく、当時の権力者たちが盛者必衰のことわりを忘れてしまったのも無理はない。残念ながら彼らは冬の陽光を約束されてはいなかった。北宋の栄華は、北方の異民族・金による侵略がもたらした厳寒にさらされ、「清明上河図」という美しい小さな琥珀の中に凍結し、そうして初めて永遠の命を得たのである。
東京国立博物館は、「清明上河図」の出陳に併せて、この作品をテーマに盛大なシンポジウムを開催した。各国から参加した研究者が日本の人々に向け、画中の「どこかで見たような」情景について説明したのである。その成果をもとに、ここに「清明上河図」に関する論文集が刊行される。これはまことに喜ばしい博物館界の一大盛事である。
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