壺の中

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出版社
ふらんす堂
著者名
板倉砂笏
価格
1,870円(本体1,700円+税)
発行年月
2019年7月
判型
A5
ISBN
9784781411859

◆第一句集シリーズ/I



三秋の人ごみの中壺の中



壺の中には壺の外の世界が密封されているだけのこと。何となれば壺の外も壺の中も世界のリバーシブルなのである。そこを仙人は、否、俳人は出入りするのだ。但し、中も外も寸分違わぬ世界なのだが、俳人は俳句の分だけ変身するのである。

(佐々木六戈)



◆自選十句

三秋の人ごみの中壺の中

この列は遠足にして能楽堂

卓袱台に昭和の傷や日永し

風花の光のなかを銭湯へ

薫風の大菩薩峠青梅宿

根腐れの向日葵黒き軍かな

まだ青き無花果のなか無数の花

ルバイヤート冠してあるや葡萄園

埋火の灰のうちなる疼きかな

陽炎のなかの旅行き遊行期や

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