企業の事業活動にともなって発生する法律問題は多く,また,多くの法律領域にまたがっていることも多い。こうした状況からか,近時わが国において企業のコンプライアンスの重要性は増している。しかし,発生する法律問題は少なくなるどころかむしろその数を増加させているようにもみえる。
これまで,ビジネス法に関する書籍は,多数の執筆者によって編まれたため,書籍全体の統一感に欠けているだけでなく,学生向けの書籍と銘打ちながら,専門的な内容,換言すると学生にとっては冗長で情報過多な執筆内容となっているものが散見される。「ビジネス法」という多くのトピックを網羅的かつ平易に知ってもらうという科目特性からすると,そこで用いられるべき教科書は,専門性より分かり易さが優先される。
そこで本書は,広くビジネス法の領域を俯瞰することに主眼を置き,また,なるべく初学者や法学部以外の学生にとっても手を出しやすい書籍(なるべく身近な事例の活用・読みやすい文章の採用)とすることを徹底した。本書はこうした方向性のもと,ビジネス法務に関心のある中堅・若手の研究者および実務家の協力を得て,編まれたものである。
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