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「満洲国」における文学の状況について、その初歩的な資料集めから始め、長年研究を続けてきた著者の三作目となる専著である。第Ⅰ篇は、蕭軍や蕭紅らを含む「東北作家群」についての論述をまとめたもので、革命文学の盛んであった上海と満洲をつなぐ彼らの役割にも触れている。第Ⅱ篇は、中華人民共和国成立後、反右派闘争で「右派分子」、「文化漢奸」と糾弾された在満洲中国人作家についての論述と在満洲日本人作家の作品について評価・考察した文章を収める。
「満洲国」における文学の研究は、その歴史的背景のため、日本や中国でも研究が盛んであったとは必ずしも言えず、研究もまだまだ深化する余地は残っている。そのような中で、資料を発掘し復刻する活動を続けてきた著者の本書を含む一連の著作は、今後のこの分野の研究に携わる人たちに残された貴重な「研究遺産」と言えるだろう。
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