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本書には
祈りと、決意と、誇りが込められている。
(書評家 大矢博子)
「祝言は挙げられない」簪職人のおりよは、
突然許婚の新之助にそう告げられた。
理由はなんとなく思い当たる。新之助は形がよく、
おりよは目が見えないから。
二人で歩いていると耳の後ろが熱くなる。
女たちの視線が痛い。
どうして私だけこんなことに――。
悔しさを押し殺し、手に残る感覚を頼りに
仕事に没頭するおりよだったが……(「闇に咲く」)。
遊女、船問屋、紙問屋、簪職人、
花火師、旅籠屋……市井の人情を掬い取る、
珠玉の時代小説。
目次
天地一転
椀の底
山の灯
闇に咲く
雪の花道
文
解説 書評家 大矢博子
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