病院の労務管理者のための実践テキスト

病院の労務管理者のための実践テキスト

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出版社
ロギカ書房
著者名
渡辺徹(労務管理)
価格
3,740円(本体3,400円+税)
発行年月
2019年6月
判型
A5
ISBN
9784909090263

近年、保険適用された高額医薬品を使用した治療が一般的になり医療の高度化が進展する一方、国の社会保障費削減の影響を受けて、多くの医療機関は、収益の確保が見込めず厳しい経営を余儀なくされています。
また、各医療機関の選択した病院機能の届出をもとに、地域医療構想が策定され、地域の医療機関の集約・再編が進行しつつあります。
そのような状況の中で2018 年6 月29 日、働き方改革関連法案が、参院本会議で可決され成立しました。働き方改革の3 本の柱として、残業時間の上限規制・正社員と非正規社員の不合理な待遇格差を是正するための「同一労働同一賃金法」・一部の専門職を対象にした「高度プロフェッショナル制度(脱時間給制度)」が導入されます。
無駄な残業をなくし、働いた時間ではなく業務の成果を評価する働き方に変わることに一歩踏み出すことになります。医師については、「残業時間の上限規制」に5 年間の猶予はありますが、その間、医療機関においては他の医療機関との合併・連携の強化により集約化が図られることになるでしょう。医療機関内では業務の効率化にむけて働き方改革が推進されるものと思われます。
今後、生産年齢人口の減少により、職員の確保が困難になる時代が到来します。これまでの労務管理手法は正しかったか、職員の健康管理は適切に行ってきたか等、従来のマネジメントシステムを見直すことが必要です。また、医療機関は、女性職員の割合が特に高いことから、育児・介護を行いながら勤務する短時間労働者が増加する傾向にあります。短時間労働者にとっても働きやすい職場環境を整備することも必要です。
医師については長時間労働を回避できるよう、適切な労務管理を行う必要があります。医師についても、応召義務があるから適切な労務管理を行うことは難しいという理屈は通用しません。残業時間が増えている職員がいるならば、過重労働になってはいないか、また今後その可能性はあるのか等について事業主は調査し、対応する責務があるのです。
本書は、医療機関に30 年以上勤め人事担当マネージャーとして長年院内の人事労務管理の改善に取り組んできた筆者が、各医療機関の働き方改革推進のお役に立ちたいという思いから、これまでの医療機関勤務の経験や人事労務管理の研究により培ったノウハウや情報などを本書にて提供させていただくことにいたしました。
労働基準法の改正や医師の働き方改革推進の今後の方向性などについても医療機関労務管理の最前線にいる社会保険労務士としての私見を交えて述べさせていただきました。
本書は、各医療機関の院長・診療科部長・看護部長・看護師長・事務部長等を初めとする医療機関勤務のマネジメント職の皆さん向けに、厳格な法令解釈を押し付けるのではなく、ケーススタディや裁判例などを用いて、具体的な現場での問題解決の手法について解説いたしました。また、この本1 冊で医療機関の労務管理の重要性についてご理解いただけると思います。是非、医療経営に関するテキストとしてご使用いただければ幸いです。

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