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21世紀の初めに、「人類はいまだかつて経験したことのない危機を迎える」と、50年前に〈予言〉した今西錦司の言葉のように、「3.11」東日本大震災と福島第一原発事故は、自然災害と、近代科学の粋である原子力の制御不能が結び付いた巨大な災厄であった。それは19世紀以降の近代科学イデオロギーの破綻の宣告でもあった。
今西錦司の「進化論」と「自然学」は、今日のこの危機的状況を乗り越える「共棲としての世界観」を提唱する。自然をじかに見、体感して全体を捉える思想である。本書は、今西錦司の科学者およびフィールドワーカー、登山家としての発言をもとに、近代科学が辿りついた〈危機〉――原発事故、専門分化された生命科学・遺伝科学など――をわかりやすく提示するとともに、その後に向かうヒントを模索する。
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