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肩関節の不安定性,歩行時の股関節異常音,指先の痺れ感……これら運動器の機能破綻症例は,経験年数の多寡にかかわらず,多くの理学療法士が担当・対応するものである.検査画像では異常がなくとも患者を悩ませるこれらの症候は,運動器のエキスパートとしての理学療法士ならではの視点・思考を活かすことができ,理学療法士としての醍醐味を味わえる分野であると言えよう.
しかし昨今の理学療法の現場において,こうした機能破綻症例に対し,本当に理学療法士自身の頭で考え,適切な,戦略的・効果的なアプローチを実践できているだろうか?漫然と当たり障りのない理学療法を行い,「効果がない」と嘆いていないだろうか?
本書では,現場の理学療法士が避けては通れない代表的な運動器の機能破綻症候を取り上げ,個性あふれる運動器のエキスパート陣に,それぞれ評価と治療テクニックのストラテジー(戦略)をご提案いただく.読者に各エキスパートの戦略的かつ刺激的な考え方とテクニックを学んでもらい,自身の臨床に還元せしめることが本書の目的である.
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