性と欲望の中国

文春新書

性と欲望の中国

取り寄せ不可

出版社
文藝春秋
著者名
安田峰俊
価格
935円(本体850円+税)
発行年月
2019年5月
判型
新書
ISBN
9784166612178

驚きの現地ルポ!

爆買いから「爆セックス」へ

14億人民の爛熟(らんじゅく)と頽廃(たいはい)



かつて中華人民共和国は「セックス不毛地帯」であった。共産党は売春を撲滅。性愛そのものが「ブルジョア的」とされ、恋愛小説さえ発禁だった。ところが今、改革開放政策による高度経済成長も限界に達し、セックス文化が爛熟を迎えつつある。

微信(WeChat)などSNSを利用した売春や不倫が横行し、エロ系オタク文化やAV発のサブカルチャーも大流行。AIやロボット開発に携わる若き理工系の頭脳が、精巧なラブドール(ダッチワイフ)開発にしのぎを削る。日本に押し寄せる中国人観光客向けに、ソープランド巡りなどを目的とした「日本買春ツアー」さえ売り出されている。

百花繚乱の中国の性事情には、「いびつな人口動態」「拝金主義」、そして「権力闘争」が影を落としている。

一人っ子政策によって男女比が均衡せず、「結婚できない男性」が3000万人を超える。そのため、一部の性産業にとって中国市場は「ブルーオーシャン」なのだ。

また、工業地帯の周辺には、性産業で手っ取り早くカネを稼ごうと若い女性達が大量に流入し、風俗産業が乱立する「性都」がいくつも生まれた。

一方で、いきなり当局の手入れが入って壊滅したり、有力者の不貞行為が突然暴露されて失脚することも多い。これらの背景には中国共産党内部の権力闘争が密接に絡んでいる。

LGBTへの迫害や生きづらさ、共産党による監視の不気味さなど、深いテーマにも鋭く斬り込む。

まさに「性事」から「政治」を読み解いた作品である。

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