花には不思議な魅力がある。鮮やかで多彩な色彩を帯び、形も多様で時に神秘的である。人の心を癒し、時に空間を厳かにもする。花に対するこの感受性は、人類が愛でる対象として築き上げてきた文化なのかもしれない。
本書は、土地に根ざす野外の「花風景」に着目し、その背後にひそむ歴史と文化の物語を掘り起こすことを最大のねらいとした。
全国各地の花風景は、大きくは次の4分野において約350事例を選定した。1.花見、観梅、菊花展、アジサイの名所など名所・祝祭の花風景、2.フラワーパーク、公園、ヒマワリ畑などの観光・観賞の花風景、3.リンゴ、ジャガイモ、ソバ、柑橘などの農のなりわいの花風景、4.里地里山、海浜、湿原、高山、亜熱帯などの自然地域の花風景。
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